私は昨年入職し、看護師として約130名のご入居者様の健康管理に携わる一方で、予備自衛官として年5日間の招集訓練に参加しています。令和6年1月1日に発生した能登半島地震発生に伴い、1月5日に災害派遣要請を受け、上司や同僚からの理解と協力を得て、1月10日伊丹駐屯地出頭、石川県珠洲市で7日間の災害支援活動、1月19日任務終了し、エクセレント宝塚ガーデンヒルズの看護師に戻りました。
各地からDMAT(災害医療チーム)が多数集結しておりましたが、発災から2週間経っても、雪で道路の寸断された悪路に阻まれ、陸路での被災者支援ができていない時期でした。自己完結できる自衛隊の医療チームは、毎日の珠洲市保健医療福祉調整本部会議により指示された活動を行いました。
珠洲市の山間部から道の寸断した海岸沿いの孤立集落住民の『安否確認』『孤立避難所の把握』をはじめ、自衛隊医療班のメンバーとして、孤立避難所の『巡回診療』、珠洲市内高齢者施設から金沢への『1.5次避難所への移送支援』等を担当しました。
珠洲市から金沢市内まで自衛隊救急車アンビでしか通れない道路状況のため、介護車両は使えません。
私は老人ホームのケアマネージャーから情報収集をし、歩行器や杖で自立歩行可能な認知症のある4名を担当することになりました。高齢者施設からの移送支援は、今災害で初めてのオーダーであったため、自衛隊医療班本部へ高齢者護送時の留意点を伝え、以降の珠洲DMAT本部との事前調整を依頼しました。認知症による不穏の可能性への対策、車内の安全管理、道中は4時間ノンストップのため、出発直前の排泄援助やリハビリパンツや大パットの着用援助、出発前のコロナ抗原検査(日赤チームが実施)や、空腹の訴えに備えたパンや飲み物の準備等。
様々なリスクを想定しながら準備を行ったことで、無事降車時には受け入れ施設職員への支援依頼がスムーズにできました。ライフラインやケアスタッフの整った区域とは異なり、1.5次福祉避難所への避難には時間がかかります。施設職員も被災した中、入居者のケアの継続や家族との連絡手段、避難支援依頼の発信等、課題はたくさんあります。エクセレントケアシステムの地域貢献活動の一環として、被災地支援の機会を得て、この貴重な経験と教訓事項を自施設での防災意識の向上に活かしたいと思います。
介護付き有料老人ホーム
エクセレント宝塚ガーデンヒルズ
看護師 中野 奈保子