6月初旬、スタッフより相談がありました。
「万博に行きたいと言っている利用者様がおられます」とのこと。「お連れしましょう」と即答しましたが、この数秒の会話が、前途多難な個別レクの始まりとなりました。
スイート嵐山では全体レクもありますが、とりわけ個別レクにはとことんこだわっています。映画を見に行きたい方がいればお連れし、甲子園に行きたい方がいればお連れし、現役時代に働いていた団子屋に行きたい方がいればお連れします。もちろんそのほとんどがマンツーマンケアであり、中には利用者様1名に対してスタッフ2名が同行することもあります。
今回「万博に行きたい」とお申し出のあった利用者様は、脳梗塞後遺症により左半身麻痺と構音障がいがあり、要介護5で全介助が必要です。介助者1人ではリスクが高いため、スタッフ2名が同行することになりました(認知症症状は全くなく、コラムに病状を掲載する許可を得ています)
さっそく車と駐車場の手配、チケットの準備などに取りかかりましたが、その準備は思いのほか大変でした。
まず、支払いをどうするか。大阪・関西万博2025では原則現金を使用できず、支払いはクレジットカードやQRコード決済、電子マネーで支払う必要があります。さらに、障がい者用駐車場の予約支払いもクレジットカード払いや電子決済に限定されていました。
万博訪問をご希望されている利用者様は、クレジットカードをお持ちではなく、身近な親族がおられないため成年後見人がついています。クレジットカード払いは使用できません。幸いなことにスマホはお持ちだったためORコード決済をおすすめしましたが、半身麻痺のためアプリの起動が困難でした。結果として、Apple PayにICOCAを紐づけて非接触決済で支払いをしていただくことになりました。(駅の改札やコンビニなどで、スマホをかざすだけで音が鳴り決済が完了する、あの方法です)
支払いの際、同行しているスタッフがアプリを起動して支払えばいいだけのことなのですが、ここは管理者である私のエゴイズムが出てしまった、悪い点です。全介助の利用者様です。買い物をする機会なんてめったにありません。「どうしてもご自身で支払いをして欲しかった、スマホで支払いが出来る体験をして欲しかった」ため、もっと簡単に出来たはずなのに、準備に数日かかりっきりとなりました。
その後も、障がい者用駐車場が常にいっぱいで予約がとれなかったり、道中にもいろんなことがありました。
万博に行かれた翌日、私自身がこの方の支援に入る機会がありました。
感想を伺うと「万博に行きたいと言ってはみたけど、本当に行けるとは思っていなかった。すごく疲れたけどいい思い出になった」と筆談で伝えてくださいました。
個別レクは、お一人お一人のご希望を聞きながら計画を策定し、提供しています。1カ月にお一人ずつが限界ですので、次に順番が回ってくるのは1年以上先になります。それでも、ご本人の期待以上のサービスを提供するため、今後も個別レクに全力で取り組んでいきます。
あなたの施設では、あなたが理想とする介護が提供できていますか?通常業務をこなすことで手がいっぱいになり、利用者様と関わる時間がとれなかったりしませんか?
エクセレントグループでは、法人のVisionである『オンリーワン オンリーユー』の中で明確に謳っている通り、「利用者様に喜んでいただきたい」というあなたの夢を実現することが出来ます。
私たちと一緒に、利用者様の夢、そしてあなたの夢を追求しましょう!
グループホーム・小規模多機能型居宅介護
スイート嵐山
施設長 沼田 祐樹